電池が切れるまで

Dec 13

「真面目」の問題か

「オリンパスはもともと真面目な従業員と高い技術力を有する健全な企業で、企業ぐるみの不祥事が行われたわけではない」、「悪い意味でのサラリーマン根性の集大成」、「経営中心部分が腐っており、その周辺部も汚染されていた」、「ワンマン体制が長く続き、誰も社内で本当のことが言えない状態が続いた」・・・

これがオリンパスの第三者調査委員会の報告書です。「真面目」、「サラリーマン根性」、「腐っている」・・・第三者調査委員会に期待しているのは事実の調査であり、正義の調査ではないはずです。

オリンパスの財務諸表の作成に数十人がかかわるでしょう。十数年にわたって千億以上の不良資産を隠してきたのに社員が気付かないのはアラビアのおとぎ話でしょう。彼らが命令される作業を密告することもなく「真面目」に働いたのは確かです。

面識のある人は分かりますが、菊川さんや岸本さんは超がつくほど真面目な人です。たぶん誰も着服していないと思います。彼らが三代にわたって苦しいリレーができたのはむしろ「俺が真面目に働いている。私利私欲のためではない」という自負があったからと思います。

経営の中心は本当に腐っているのでしょうか。菊川さんは岸本さんからの不正会計の引き継ぎを除けば、日本企業によくみられる普通の老害でした。むしろオリンパスの経営は多くの大手企業の中でまだマシな方です。それが業績にも株価にも如実に現われていました。

鈴木正孝さんというグローバル事業を大きくした専務が居ます。彼がリードしてきた中国・アジアの内視鏡事業はオリンパスの業績を支えただけではなく、何でもありの中国市場でも厳しいコンプライアンスポリシーを守ってきました。鈴木さんも経営の中心に居ますが、腐っているどころか、菊川さんと闘ってきた、本来社長になるべき人物です。

日本の大手企業では、率直で業績をあげて人気もある取締役は社長になれません。男のやきもちは恐ろしいもので、在任中の社長よりも人気があってはなりません。だから後任社長はロシア人形マトリョーシカのように必ずそっくりの人が出てきますが、矮小化していくのみです。

今となって隠ぺいを主導してきた元社長をワンマンだのサラリーマン根性だの批判するのは容易いことです。しかし、強引にCEO椅子にへばり付いても、菊川さんにはとてもワンマンの力がありません。彼の根性は80歳過ぎても会社に行く多くの「真面目な」経営者達の共通の根性です。

調査委員会のメンバーもそういう「真面目」な方々でしょう。「腐っている」などの感情剥き出し表現をみると思わず笑えてしまいます。ばれたことを調査に行くのだから真面目なことを言うぐらいしかやることがなかったでしょう。

コンプライアンスは茶番、社外取締役は茶番、株主総会は茶番、第三者調査委員会も茶番です。53億のライブドア事件はいきなり強制捜査と社長逮捕から始まりました。いっさい茶番がありませんでした。

なぜでしょうか。堀江氏が不真面目だったからです。しかし、忘れてはならないのはこんな真面目な調査ができたのも、不真面目な外国人のおかげでした。彼がいなければオリンパス事件はなかっただろうと、読者の皆様は思いませんか。
「真面目」の問題か: 宋文洲のメルマガの読者広場 (via pinto)